【傑作ロングボード】FCD_BTモデル

はじめて手にしたFCDは9‘4のBTと5‘7のFishでした。

2006年くらいだったので、もう15年以上経っていますね。

Fishは奄美大島の碇山勇生さんに引き継ぎましたが、BTは今でも手元にあります。

BTはFCDの中で唯一エッジが無い、オールドスクールなデザインのサーフボードです。

ハイパフォーマンスを追求するブランドのオールドスクールなデザインと聞くとちょっと懐疑的になってしまいそうですが、優秀なサーファーからのリクエストとサーファーの求める機能を形にするプロによる共同作業と聞くと印象変わりませんか?

BTを開発した当時のFCD&パタゴニアサーフチームには、デヴォンハワードさんがいました。

カーディフ店の店長さんだったんですが、サーフボードデザインにもフィードバックをしていました。

デヴォンさんは当時も今も最強クラスのサーファーであり、スキルだけでなくサーフィンに関する知識も博士級です。

さらにテスターにはマロイブラザーも控えており、まさにドリームチーム。

フレッチャーさんの元には、カリフォルニアの最もコアなサーフィンやサーフボードの関するフィードバックが届くわけです。

フレッチャーさんは、世界中の各ビックウェーブスポットに合わせてGUNを削れるシェイパーです。

だからどのサーフボードも波のキャッチが予想より早く、乗ってから横に走るスピードも速いです。

ロッカーと全体のバランスが良いんだと思います。家で言えば基礎がしっかりしている感じですね。

フレッチャーさん自身はロングボードに乗る機会は少ないかもしれませんが、ロングボード以上長いサーフボードもビシッと削れる技術があって、そこにデヴォンさんのフィードバックが乗っかったサーフボードがBTなのです。

BTはストレートなアウトライン、少しシャープな50/50のソフトレール、ノーズコンケーブとハルボトム、プレーンなロッカー、重厚なラミネートといった特徴を持つ、シングルフィンのロングボードです。

BTの1番の特徴はトリミングのスピードで、ワイドポイント周辺に立って、レールを波にセットするだけですごく安定して進行方向に滑走していきます。

ハルボトムと薄い50/50レールが波にフィットして、その水をスムーズに後ろに運んでくれます。

抵抗の少ないボトムデザインなので、波のパワーがないセクションでも止まることなく、惰性で走り抜けていってくれます。

スピードがつきすぎたら、サーフボードの後方までしっかり戻ってテールエンドを踏むと、ノーズが浮き、テール付近のロッカーとカーブに沿って水が切られて小さな半径のターンが出来ます。

センター付近のトリムポジションでスピードをコントロール、

テール付近のカービングポジションでターンをコントロール。

真ん中にアクセルがあって、後ろ側にブレーキ&ハンドルが付いているイメージです。

ハルボトムではありますが、ハルみたいに真ん中に乗りながらカービングするのは難しいので、曲げる時はしっかりステップバックしてあげるのが上手に扱うポイントですね。

ノーズに向かう時は、レールを波にセットして、テールに波が被るように少しスピードを落としてあげる。

そしてニュートラルポジションから、ステップすると、ノーズコンケーブがしっかり水をつかんでくれるのでノーズにいるときも安定感があります。

クラシックなグライドだけでなく、ノーズライディングもしやすくデザインされています。

さらに言えば、癖のないデザインながら、稀に見るヘビーフラッシングを施されているのもBTの特徴です。

デッキ6オンス×4層=24オンス、ボトム6オンス×2層=12オンス、合わせて36オンス!

これだけしっかりラミネートが施されていると相当重たいんですが、ハルボトムが適度に水を逃すので、正しい場所に加重すれば思いのほかターンは軽いです。

しかも、24オンスのクロスが乗っかっているので、長く乗ってもデッキがボコボコになりません。

普通はストリンガー周辺にヒビが入ってしまい、修復しないといけなくなるんですが、BTに関しては、その必要は無さそうです。

なので、15年以上酷使しても未だに現役で使うことができます。

普遍的なデザインを持ち、長く乗りながらスイートスポットをひとつひとつ見つけていく、そんなロングボードをお探しでしたら、是非BTも候補に入れてみてください。

オフショアのポイントブレイクはもちろん、遠浅のビーチブレイクでも気持ちよくグライドしていきますし、9’2や9’4を選べばセクションの短い鎌倉などのリーフブレイクでより自由にコントロール出来ると思います。

オンショアの時は一気に操作が難しくなりますが、そういう時にシングルフィンのロングボードに乗ると、連続する細かなセクションをどう攻略していくか?普段より先読みしながらライディングするので、苦しいかもしれませんが、トリム&カーヴィングの良い練習になるので、是非試してみてください。

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